どんな映画でも面白く観てしまう元気で天真爛漫な映画ファン(俺)が、ほのぼのとした語り口で映画感想文を綴ります。

静寂が奏でる恐ろしくも美しき世界『クワイエット・プレイス』

2022/02/01
 
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人間は、音をいっさい立てずに生きることができるのか?

改めてそんなことを考えると、結論としては「無理!」ってなる。

だって俺はいまこのテキストを打ち込んでいるだけで、すでにさまざまな音をまき散らしているわけだから。

パソコンのキーボードを打つ音、鼻をすする音(アレルギー)、あくび(静かにやれ)、スピーカーから流れるスマッシング・パンプキンズ(消せ)、学生時代に好きな子にアタックして人前で派手にフラれた記憶を突然思い出して叫んでしまう(それはしょうがない)等、一瞬たりとも静かにできない

よく小学生時代の通信簿に「落ち着きが無い」と書かれておりましたが、ハッキリ言っていまだに同じ。

 

というか、小学生時代に落ち着いてる奴ってなんなん?

 

もう俺にとっては「落ち着く」という状況自体が困難極まりないというか、普通に80歳過ぎてもフラれた記憶を蘇らせて老人ホームで叫んでそう

というわけで、音を立てると死ぬ映画『クワイエット・プレイス』は、ホラー映画として完璧だった。

 

ストーリー完璧、シチュエーション完璧、恐怖演出完璧、脚本完璧、役者完璧、ヴィジュアル完璧、そしてなによりラストが完璧!

 

ここ重要。

 

ラストがとんでもなく素晴らしい!

 

鑑賞後に「おおおお!」と思わず声出して興奮してしまうので、もし映画館がクワイエット・プレイスだったら観客全員死んでるよほんと。

 

 



完璧な世界観で展開する極上の恐怖

 

 

『クワイエット・プレイス』は、音を立てると問答無用で即死する世界なので、当然のように俺のような万年わーわーやってる人間は秒殺される。

つまりこの作品、落ち着きがない人間にとっては地獄の世界観なわけ。

開始直後から最後までずっとクワイエット・プレイスだから、上映中はひたすら恐怖しかない。

音を立てたら死ぬ世界で、音を立てずに日常生活を送る家族の物語。

「世界を変えよう」とか「原因を突き止めよう」とか、そんな大それた話ではなくて、とにかくこの世界で生活する、生きのびることだけが目的であり、どこにでもいる普通のファミリーが主役であり、もちろん特殊能力や高度なサバイバル能力もない。

冒頭から、何の問題も無く完全に登場人物に感情移入できることが、この作品がホラーとして優れている要素のひとつなのだ。

当然、物語は音を立てずに展開するので、囁くような小声、あるいは手話、表情などでコミュニケーションが描かれているのも緊張感をさらに大きくしてくれる。

たとえば、物を落としたり、何かにぶつかったりしても音が出るので危険ですし、怖さのあまり悲鳴をあげたりなんかしたらもう完全にアウト。

 

ホラー映画なのに悲鳴ナシ。

 

悲鳴を上げたら最後、ユーキャンストップ!

まさに実写版プリングルスな極悪シチュエーションが90分間つづくスリル満点の世界観は、とんでもなく怖いのにとんでもなく心地よい。

 

車や飛行機、工場、テレビ、洗濯機など、便利さを求めて日常にあらゆる物音が鳴り響く現代社会を生きる俺たちだが、この映画における音の無い静寂の世界はどこか懐かしく、精神的な安らぎを感じてしまう。

もしかしたらこの作品、音を出し過ぎている我々人間社会への警鐘とも言えるのかも。

 

 

 

最悪な環境への生物的対応力がすごい

 

この作品は、音を出しちゃダメな設定だからこその、アイデア満載の「音出ちゃいそうスリル装置」がところどころに仕掛けられている。

あ、これ音が出ちゃうかも! ヤバイ!

てな伏線がいろいろと登場して、とにかく観客をどんどん緊張させてくのだ。

主人公ファミリーには子供が3人もおり、1人は幼児なのでもうその時点で気が気でない。

たとえば音の鳴るオモチャなんかを子供が手にしたら、劇中の登場人物だけじゃなく観客もことごとく戦慄せざるを得ないわけ。

 

「それダメ! ぜったい!」

 

もうひとつ、この作品でもっとも恐ろしいのは、奥さんが妊娠しているという状況なのだ。

 

いや、このシチュエーションで妊娠する?

 

つまりこの夫婦、音を立てずに出産して、さらに赤子を育てようとしているというところが驚き。

 

「おもちゃの音を鳴らしてしまう幼児」と「避妊せずにセックスしてしまう大人」、危機感の欠如に差がほとんどないというところが人間らしくて俺は好き(笑)

 

で、何が言いたいのかというと、「音を立ててはいけない」という特殊な世界でも、人間って生きていればそれなりに環境に順応するんだなってこと。

沈黙という恐怖に支配されつつも、子供たちはそこで生き延びる知恵を得てしっかり適応するし、それなりに準備をすれば赤ちゃんを育てる事も可能だと選択もできる。

いやー、人間って、本当にたくましいですよね。(BY 水野晴郎)

 



まとめ

音を立てないスリルと過酷なサバイバル、大事な人を守る家族愛。

盛りだくさんの内容でアメリカでは異例の大ヒットを飛ばしたらしく、続編が作られたら嫌だなってほど完成度が高い作品だ(作られるらしい)

主演のエミリー・ブラントは、監督&出演者も両方こなしたジョン・クラシンスキーさんの嫁でもあり、さらに子役の女の子ミリセント・シモンズちゃんは本当の聴覚障がい者ということで、この人の手話がもう迫力満点。

しかも「音が聞こえない」という立場がこの物語でも重要な役割を担っているのでそのへんも注目。

 

鑑賞中はポップコーンを噛み砕く音すら抑えようと神経使いまくるであろうこと必至。

何も食べずにひっそりと、固唾をのんで鑑賞すべし!

 

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