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【8.29神宮球場その①】鈴木軍、貫禄の躍動【SUMMER STRUGGLE in JINGU】

 
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夕方とはいえまだまだ青空を見せている夏の終わりの屋外、気温の高さに加えて、観客たちの期待と興奮の熱気も合間った神宮球場の特設リングに、この日最初に入場してきたのは金丸義信である。

一塁側ベンチから、ふてぶてしい表情をたたえ現れた金丸の手にはウイスキーの角瓶。

たしか “会場内へのアルコール類の持ち込みは禁止” とされていたはずだが、もちろんそんなことはお構いなしの金丸は、歩きながらウイスキーを盛大にあおる。

青空の下ということもあり、アル中感すごいなオイ。

 

新日本プロレス21年ぶりの開催となる神宮球場大会。
記念すべきこの日、この場所への一番乗りがこの男であることに感動を隠せない俺。

後から考えると神宮大会は、第一試合から鈴木軍の “貫禄” によって試合のクオリティが一気に引き上げられ、その高いクオリティを大会通してずっと維持され続けていたような気がする。

大会後に「神宮大会は全試合面白かった!」というファンの声が多かったことからもわかる通り、一試合もダレることなく緊張感とエンターテインメント性を保持していたこの大会。

行われた全6試合のうち、鈴木軍の絡んだ試合は4試合にも及び、そのどれもが彼らのパフォーマンス能力とプロフェッショナルとしての技術力、試合勘の鋭さを象徴するような試合ばかりだったのが大きな理由だ。

 

金丸「ま、小僧相手じゃあの程度だろ。オイ、海外から帰ってきたからって上手くいくと思うなよ。まだまだあいつにはプロレスのアタマ足りねえなオイ、出直して来いよ。黒パンツからやり直せ」

 

デスペ「矢野さん! 防衛戦やりません? お願いします。なんか、せっかくなんだからさ、こういう変則的なスタイルなんだから、ルール持ち合ってさ、投票してさ、楽しもうよ。ね?」

 

鈴木「おい鷹木・・・。鷹木・・・。ロスインゴなんてチャラチャラしたやつしかいねーのかと思ったら、ちゃんと喧嘩できるじゃねーか」

 

タイチ「もうないだろ! ゴールデンボールズの馬鹿なファン共もよ。今日の俺らの戦い見て、文句つくとこあった? 前の時はよ、なんかガチャガチャガチャガチャブスな女どもがよ、あいつら2人に抱かれたい女どもがよ。ガタガタ言いやがってよ」

 

ザック「ゴールデン・ボールズはおしまいだ。バカどもが。防衛戦でも負け、今日のリマッチでも俺たちに敗北。そもそもリマッチの権利さえなかったくせに。俺たちは心優しいから仕方なく挑戦させてやっただけだ」

 

痛快なる鈴木軍のコメントたち。

 

全身全霊をかけて泥臭く戦い抜いたあとに、こんな上から目線の軽口を叩けるのが鈴木軍の凄さなのだ。



暴力のはらわた2020

NEVER無差別級王座戦 鷹木信悟 VS 鈴木みのる

 

8.29神宮大会『SUMMER STRUGGLE in JINGU』の個人的メインイベントはもちろんこの試合。

青空のもと打ち付け合うエルボーとラリアットと頭突きの炸裂音が、緊張感の漂う静かな球場に響き渡る。

そして、鈴木みのるの悪魔のような、地獄の底から響くかのような唸り声が鷹木に迫る。

並みのレスラーなら一発で沈んでしまいそうな鷹木の強烈なラリアットを何発も耐え、トドメとばかりにロープに飛んだ鷹木に向けて発射される鈴木のカウンタードロップキック。

大声禁止の会場も、さすがにこの瞬間には耐えきれずにどよめきが巻き起こる。

鷹木は強くて頑丈だ。

パワフルな投げ技やラリアットだけでなく、パンチやチョップ、エルボーなどの打撃も圧倒的破壊力である。

そんな鷹木の攻撃を真っ向で受けても、鬼の形相でそれ以上の反撃を繰り出す鈴木もこれまた超絶タフだ。

なによりこの試合、鈴木みのるはお得意の「関節技」をほとんど封印して戦っていた。

必殺技への繋ぎ技であるチョークスリーパーは頻繁に見せていたが、腕や足をネチネチと責めることはせずに、あえて殴り合いにこだわっていたのは、これが “ケンカ” だからである。

 

鷹木「勝負はな、強い奴が勝つんじゃねえんだよ。わかるか? 勝った奴が強いんだ。俺がそれを神宮で身を持って証明してやる」

 

 

鈴木「この野郎、今からやろうぜ。 明後日の神宮、待ちきれねえんだよ。今から表出てやろうぜ。鷹木信悟。神宮なんか待ってられねえ。おい、今すぐ、ここの駐車場で待っている。降りて来い」

 

ケンカしたがり男たちの直前の舌戦である。

鷹木信悟と鈴木みのる。

冷静に考えて、この2人がシングルでベルトを賭けて戦うことは歴史的事件であり、比較的サラッと実現したけど、実は超新鮮なドリームマッチなのだ。

実績も個性もプロレスラーとしての能力もトップクラスのこの2人が相まみえる手段が、シンプルな “ケンカ” であることに興奮を隠せない。

「戦闘」における原点にして頂点、荒ぶる力と力がぶつかる “ケンカ” こそが、この2人にもっとも必要な闘いのスタイルなのだ。

壮絶なる消耗戦。

観ている俺たちにも「痛み」とダメージが伝わるような激しいブン殴り合いの末に勝利を収めたのは鈴木みのるであった。

 

鈴木「まだまだクソガキだ。おまえの力じゃ俺の首は獲れねえ。俺とおまえじゃ歩いている場所も違う、道も違う。位置も違ければ高さも違う! そう、おまえは俺の足元歩いてんだ。ただの平民、いやいやいやいや、ただのナメクジ、蛆虫と同じところしかテメーは歩いてねーんだよ」

 

などと試合後にコメントした帰り際に、態度が気に入らなかったカメラマンに因縁つけて突っかかっていく鈴木、恐ろしいことにまだまだ超元気なのだ。

 

対して敗北したはずの鷹木もコメントブースにしっかり登場。

 

鷹木「何が何でも負けたくなかった。終わりじゃねーぞ! 俺がこの後行くのは病院じゃねえ。病院なんて行くか! こんな悔しい思いしたらなー、寝れねーからよ。俺はこれから“エニタイムフィットネス”に行って朝までがっちりトレーニングしてやるからな!」

 

こいつも全然元気じゃねーかコノヤロウ!

どうなってんだコイツらは! 責任者出てこい!

 

 

 

運命の逆転2020

IWGPタッグ王座戦 タイチ&ザックセイバーJr. VS 棚橋弘至&飯伏幸太

 

棚橋さんが本調子に戻ったことにパートナーの飯伏も大喜びで、ゴールデン☆エースはこの勢いでタッグ王座を取り戻すべくリマッチを挑む。

一時期、不調でやられまくったあげく飯伏にも「カンベンしてください」などと突き放された崖っぷちのエースであったが、なんだかんだで調子を戻して前哨戦でタイチ&ザックの王者チームを圧倒する活躍を見せていた。

どん底に落ちた棚橋さんがついに浮上してきた。このタイミングでのリマッチは、なんとなく棚橋&飯伏の王座奪取の流れだと勘繰ってしまう。

しかし、俺たちはなんとなくモヤモヤしていた。

 

棚橋さん、本当に調子戻ってるの

 

口では「絶好調だ!」とか言っているし、飯伏もそれを認めているし、実際に活躍もしているけど、そこに目に見えるようなハッキリとした以前との違いを説明できるかというと、なかなか難しい状況だ。

 

タイチ「ここ数日間の、今日を含めて最近、好調が戻ってきたって言ってるけど、その好調は落とし穴になるぞ。俺には全部わかる」

 

何かを暗示するかのような、直前の後楽園ホール大会バクステでのタイチのコメント。

棚橋さんと飯伏のコンビ「ゴールデン☆エース」は確かにイケメンコンビだし、彫刻のように美しい肉体美とみなぎる博愛主義、スターとしてのオーラをまとった豪華絢爛な存在ではある。

しかし、俺にとってはそんな奴らはでしかない。

イケメンでもなければ、肉体美もオーラも無い、誰にも見向きもされずに泥をすすって生きて来た俺のような人間にとって、タイチ&ザックこそが心の代弁者であり、生きる希望。

コロナ禍の中で感じている経済的不安や健康な生活への不安、そういった根本的な不平不満が込められた悪態や呪詛を俺たちに代わって訴えてくれる存在、それがタイチ&ザック組なのだ。

つーか

 

要するに、モテる奴が嫌いなんだ! 俺は!

 

もうこの際だから正直に言わせてもらうけど、女子にキャーキャー言われている奴が思いっきり無様に負ける姿は、俺にとってメシウマ以外の何物でもないんだ!

ふざけんなコノヤロウ! もう勝て! タイチ&ザック!

ゴールデン☆ボールズの両玉を摘出してしまえ!

などというヒガミ根性まる出しで観戦している俺たちクソゴミ人間の溜飲を下げる問答無用の逆転勝利。

ザックが痛めていたヒザにドラゴンスクリューされ、棚橋&飯伏の合体技をも派手に喰らった末にハイフライアタックでKOされてと、完全に棚橋さんの勝ちパターンとなったはずなのに、どこからともなくサポートに入ったタイチとの電光石火のザックメフィストである。

これほど痛快な逆転勝利があるだろうか。

モテないし、金も無いし、良い事なんか微塵もない、悩みも多くて、厳しくツライ社会だけど、俺、明日からも頑張って生きよう。

 

母ちゃん、俺、明日もちゃんと仕事に行くよ。

 

 

 

ワトの試練はまだまだ続く

スペシャルシングルマッチ マスター・ワト VS 金丸義信

 

ワトを引き上げて金丸さんが壮絶に散る。

この試合における俺の予想は、いまのところ凱旋してからイマイチ目立っていないワトくんの大ブレイクのきっかけとなる試合に、試合巧者である金丸が選ばれたのだと思っていた。

テクニカルでしたたかな金丸の攻撃に苦戦しながらも、ワトくんが持ち前の身体能力と対応力、そしてまだ見ぬ引き出しを開けて底の深さを存分に見せつけて勝利する。

マスター・ワトが金丸超えを果たして、ついにここからグランドマスターへの真の旅が幕開けとなる! みたいな。

そんな流れだと思うじゃん普通は。

凱旋して最初の試合でDOUKIに勝利したのはいいけど、その後は金丸にひたすらやられてピンフォールまで取られてるし、NEVER6人タッグではヨシハシにまでピンを取られてるワトくん。

鳴り物入りでの凱旋直後のわりに待遇があまり良くない。

あんなに動きは派手だし、身体能力も高いのに、それを発揮する場があまりなくて、俺たちファンもヤキモキしている状況だ。

そんな中での金丸との一騎打ちは期待しかなかったが、ぬわんとフィニッシュに行こうとした一瞬のスキに丸め込まれて金丸に3カウント取られてしまったのである。

結局、試合の感想は「金丸、すげーな」のひとことに集約されるよね。

この状況で勝ってしまう金丸のスキルフルな闘い方、マジで尊敬に値する。

ワトくんの最大の敗因はもちろんわかっている。

 

セコンドの天山である。

 

キャリアで大人と子供ほども差がある金丸との試合だというのに、セコンドの天山は何ひとつ役立っていなかった(なんなら一緒になってやられていた)

いつもバクステにて、先輩面した天山がワトくんのコメントを邪魔しているのがイライラしていたが、そのストレスも知らぬ間にワトくんを蝕んでいたに違いない。

金丸とワトで、試合後に共謀してセコンドの天山を痛めつけて鈴木軍入りする、という流れも期待したが叶わず。

とりあえずワトくん、マジで応援しているから頑張って欲しい。

ワトくんの試合、もっと観たい。

 



『KOPW』はとんでもないタイトルだ

『KOPW2020』優勝決定戦4WAYマッチ
オカダ・カズチカ VS SANADA VS 矢野通 VS エル・デスペラード

 

オカダが提唱して実現した新たなタイトル『KOPW2020』の優勝決定戦は4WAYマッチであった。

もはやこの試合は、運と閃き、そして瞬発力がモノを言う特殊な世界である。

試合前に勝敗を予想したが、どう頑張っても「矢野さんが混戦のドタバタに紛れて誰かを丸め込んで勝利する」姿しか浮かばなかったが、マジでソレが起きてしまったのでウケる。

しかも同じCHAOS仲間のオカダに金的して勝利をもぎ取ってしまったからマジで最高だ。

そしてこの試合でも、鈴木軍であり、4人中唯一のジュニア選手であるエル・デスペラードが本当に良い仕事をしていたのを忘れてはならない。

オカダとSANADAによるエモすぎるコンビネーションを誘発しただけでなく、オカダに対してギターラ・デ・アンヘルを決め、さらにはピンチェ・ロコまで繰り出そうとしていた。

以前、高橋ヒロムに「あいつらWAY戦のプロかよ」と言わしめたデスペラードの立ち回り。

カメラには映っていなかったが、その介入のタイミングは完璧で鮮やかであった。

やはりこういった試合を面白く演出するうえで、デスペや矢野さんといったプロレス知能指数の高い選手は欠かせないなと改めて感じるとともに、今後の『KOPW』の闘いへの期待がさらに膨らんだのであった。

 

つづく

 

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Comment

  1. アイアンフィンガー より:

    最後に一言だけ言わせて下さい!
    モテる奴はキラいです!以上!

  2. IPSILON より:

    鷹木 VS 鈴木 凄かったですね。戦いの熱さで画面に食いつき見ました。
    世間の常識じゃ、筋肉ムキムキの37歳ジャイアンに、52歳のジジイが敵うわけ無いんですけどね。
    恐るべき52歳が邪悪な笑みを浮かべながら繰り出す攻撃が痺れる程素敵。やっぱ上手いですわ 鈴木。
    エルボーで脳を揺さぶり~スリーパーで締め上げ(鷹木の顔、蒼白になってません?本気で締めたのか、鈴木ならあり得る)~ゴッチ式パイルドライバー(技かけるまでの間は、パフォーマンスでは無く、鷹木が受身を取れるように配慮かも)でフィニッシュ! もう説得力有り過ぎ! 絶対効きますわ。
    鷹木が退場する時のよろめきも、演技じゃなくマジのダメージだと思います。鷹木も良い選手ですね。スピード勝負すれば有利なのに喧嘩勝負を受けるのが見事です。

    • devonyamaoka より:

      どうも! 返信遅れてしまい申し訳ございません! もうG1始まっちゃってますが! 鷹木との試合、やはり強い奴が相手だと鈴木は異様にノリノリになりますよね。
      前半よりも後半の打撃のほうが鋭くなる感じがさすがでした。土壇場で炸裂するドロップキックもすさまじかった。52歳なんですよね、第三世代と変わらないキャリアであの動きはヤバすぎました! もちろん俺の中ではG1優勝候補です!

  3. リック より:

    やっぱりプロレスって面白い!(鈴木軍推し

    ワトのジャンボスープレックスはミスではなく金丸の効いたフリだったんですね、ワトの若さを利用した金丸の戦略勝ち!…ところでワトのセコンドにベテランいましたよね?気のせいか。

    ただの4wayなのに面白すぎる!
    夢コラボあり、コミカルあり、逆転ありの面白福袋。
    矢野デスペはKOPWに欠かせない要員として地位を確立する予感。

    NEVERと書いてバチバチと読む。
    ただ殴り合う、絞める、蹴る。そんな単純過ぎる闘いに胸が熱くならない男がいるのか?いや、いない。
    年齢のことを言うと殺されそうですが、あえて言います。
    日本には鈴木みのるという世界一熱い闘いをする50代がいる、と。

    ヒロムー!遊びに来たぜー!
    今のヒロムからベルトを獲る選手なんているのか?と思っていましたが、石森が圧巻の動きでした。
    ぶっちゃけ、IWGPはJrの方が面白いですね。

    勝てると思った?残念!
    いや、棚橋アンチではないですけどね?
    あまりにも鮮やかで痛快な逆転勝利。
    ザックタイチの隙が無さすぎて誰ならベルトを剥がせるのか…次の相手は石井後藤あたりかなと、個人的には予想してます。

    • devonyamaoka より:

      どうも! 神宮大会はめちゃくちゃ面白かったですねー。まさか金丸が勝つと思わなかったし、タイチ&ザックが防衛するとも思ってなかったんです実は。流れ的に「正義は勝つ」みたいな展開になるのかなと勘繰ってたのですが、見事に面白い方の展開になってくれてよかったです。鈴木みのるも凄すぎましたね。いま鷹木に完勝できる選手ってなかなかいないと思うんですが、52歳の鈴木が説得力満点にそれをやっちゃうんだから震えますよ。ヒロムと石森の絡みも超面白かった。やっぱ石森ってヒロムと似たモノ同士ですよね。この二人がトップ争いするジュニア戦線は今後楽しみすぎます! KOPWの4WAYは予想の斜め上をいく面白さで、今後も続けてどんどん盛り上げて欲しいですw しかしこのタイトル、矢野に勝てる奴いるんでしょうかねw

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