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【自伝】俺がプロレスを好きになった理由 その③

 
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【前回までのあらすじ】
小学校低学年くらいの頃におじいちゃんとよくプロレスを見ていた。しかし俺にとってプロレスは楽しいものではなく、とても野蛮でカオスな世界であり、結局好きにはなれなかった。十数年後、おじいちゃんは亡くなり、俺は1人暮らしをして青春時代を満喫していたが、プロレス好きの友人や先輩との出会いをきっかけに、再びプロレスに触れることを決意する。それは、プロレス好きだったおじいちゃんを理解するための長い旅のはじまりであった。

 

なぜおじいちゃんはあれほどまでにプロレスに夢中だったのか?

ある程度の年齢を重ねた今、もう一度プロレスに向き合ってみれば、あの頃にはわからなかったプロレスの魅力に気付けるかもしれない。

そう考えた俺は、レンタルビデオショップへ行き、あの頃の思い出を呼び覚ますべく、なんとなく選んだ1本のプロレスビデオをレンタル。

正直、多くのビデオの中からどれを見ればいいのかなんてさっぱりわからなかったが、きっと何かのヒントは掴めるはず。

そんな期待感を持って俺は、生まれて初めて、自分の意志でプロレスの世界に触れるべくビデオをデッキにセットする。

ビデオのタイトルは『U.W.F.インターナショナル プロレスリング ワールドトーナメント』

 



 

さて、ここでプロレスに詳しい方であれば、このビデオの内容はもちろん、この後に俺を待つ運面も容易に想像できるはずである。

結論から言うと、俺はこのビデオをまったく楽しむことができなかった

プロレスの楽しさを理解するどころか、プロレスについてのなけなしの概念すらもグラグラと揺らいで困惑してしまったほどである。

 

思っていたのとぜんぜん違う・・・。

 

おじいちゃんと見ていたプロレスって、こんなだっけ?

あの頃、おじいちゃんとのプロレス観戦における、ありったけの記憶を総動員して思い返すも、このビデオの内容と一致する部分がほとんどないじゃないか。

 

まあ当然である。

俺はビデオをチョイスする時点で大きな間違いを犯していたんだから。

はじめてプロレスを見る者が陥りやすいのは、やはり “知識不足” による間違った入り方である。

だからこそ、適切なアドバイスをくれるプロレスファンの知り合いが必要不可欠なわけだが、俺のように超個人的に興味本位でその世界を覗こうとする人間にとって、事前情報ゼロのでの入門はなかなかの難易度だったようだ。

このビデオが俺にとって不適切であったポイントは大きく5つある。

 

【このビデオの5つの問題点】
① あの頃おじいちゃんと見ていたプロレスとはまるで違う団体である
② テレビ中継のような実況アナウンスが無い
③ 知っている選手がひとりも出ていない
④ トーナメントの一回戦しか収録されていない
⑤ そもそも俺にこの大会を理解するのに最低限必要な「UWF」の基礎知識が無い

 

借りて来たビデオのプロレス団体、名を「UWFインターナショナル(以下:Uインター)」と呼ぶ。

そのプロレスを見て、明らかに違うと思われたのは “試合のルール” で、ダウンするだけでカウントを取られたり、ぜんぜんロープを利用しなかったり、何よりも昔テレビで見ていた試合のような、派手で華麗な技(飛んだり跳ねたり)が見受けられなかったので「これはおかしいぞ?」と。

第一印象は「地味」である。

おじいちゃんと見ていたプロレスは、なんかもっと騒がしくて華やかなイメージだったような気が。

さらに、テレビでのプロレス中継と違い、アナウンサーの実況が無いことも「地味」な印象に繋がっており、特に序盤に選手同士が睨み合い、ローキックなどでけん制し合っているときなんかは会場もシーンと静まり返っていて、お通夜のようであった。

それに、なぜビデオをチョイスする際に気付かなかったのか今でも自分が理解できないが、知っている選手がひとりもいないというのは大きな誤算だった。

当時はテレビでタレント活動をしているプロレスラーもいたので、プロレスを知らなくても見覚えのある選手はたくさんいたはずだ。

たとえば長州力や藤波辰爾なんかは有名人だし、あと外国人選手なんかにもマンガ『キン肉マン』に出てくる超人のモチーフになっているようなプロレスラーがいたよね。

「選手」でチョイスするのってすげー重要だったと、今さら気付いてしまう俺なのであった。

このビデオに出ている人では、高田延彦なるハンサムな選手が、なんとなく聞き覚えがあるといった状態。

あともうひとり、スーパーベイダーとかいう分厚い大男がいて、そいつだけやたら存在感があって印象的だったことを覚えている。

さて、俺自身の選択ミスがどんどん明らかになっていく中、もうひとつの致命的だったのは、このビデオのパッケージに「トーナメント1回戦」と明記されていたのを見逃していたことである。

収録されているのは「1回戦」のみであり、それはトーナメントにおける闘いのドラマの序章でしかない。

ビデオ返却時に気付くことになるが、レンタルしたビデオショップには当然のように2回戦以降のビデオは置いていなかった

 

なんて雑な発注だろうか。

 

これらの俺自身のしでかしたミスに加え、もうひとつ重要な問題があった。

それが【最低限必要な「UWF」の基礎知識が無い】という点だ。

誤解のないように言っておくが、この問題点は今だからこそ浮き彫りになったのであり、ビデオを見ていた当時の俺はそんなことに気付いてすらいない。

 



 

ビデオを見終わって、正直、今回もまた面白さがぜんぜんわからなかったが、これは所詮トーナメントの1回戦。

これも何かの縁だし、この大会を見続けて “優勝した選手のファンになって応援していく”というのも悪くないのではないか?

などと前向きな判断をするも、先述したように、この先のトーナメントの試合を追うことは、レンタルショップのずさんな発注スタイルによって打ち砕かれる。

もうダメかもわからんね。

再び訪れたレンタルショップのプロレスコーナーに呆然と立ち尽くし、もはや「プロレスを理解する」という一連の行動を諦めるべきか? と悩んでいたそのとき、頭の中にさっき返却したばかりのビデオのとあるワンシーンが浮かんだ。

ビデオの冒頭、それはトーナメント開催を報告する会見で、主催者の目の前の長テーブルに大量の札束がのった凄い光景だった。

たしかトーナメントに特別招待選手を招くとかなんとか・・・。

Uインターは、この大会に先駆け、プロレス各団体のトップ選手たちにトーナメント出場の打診をしていたという内容だった。

つまり、団体の威信をかけてトップ同士が戦い、本当の「最強」を決めようといった趣旨であったのだろう。

当然のようにそんなメリットの少ない戦いに乗り出すようなバカはいないので、他団体側のどの選手も参戦を辞退したようだったが。

とにかくこの会見は、プロレスファンにとっては刺激的な光景だったのかもしれないが、当時の何も知らない俺には意味不明なシーンでしかなかった。

 

しかし、実はこの記者会見シーンこそが、俺がプロレスファンになる過程での、盛大な回り道のきっかけとなるのだ。

 

まだつづくみたい・・・

 

 

シリーズその①

【自伝】俺がプロレスを好きになった理由 その①

シリーズその②

【自伝】俺がプロレスを好きになった理由 その②

 

 

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