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【自伝】俺がプロレスを好きになった理由 その②

 
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死んだおじいちゃんが好きだったプロレス。

金曜8時になると、おじいちゃんは俺をテレビの前に呼びつけ一緒にプロレスを見るわけだが、幼い俺には当然なにがなんだかわからず、怖いオトナたちが取っ組み合いをしている、単なるカオスにしか見えないのであった。

きっとおじいちゃんは、俺にも楽しめるよういろいろ説明してくれたりもしたし、当時はタイガーマスクなどのわかりやすくヒーロー然としたレスラーもいた。

しかし、幼い俺にとってはすべて得体のしれない野蛮人たちの抗争でしかなく、誰が善か悪かも見分けがつかないし、誰が強いか弱いかもわからない。

ただ流されるままに、おじいちゃんが応援しているレスラーを一緒に応援することしかできなかったし、「嫌い」とまではいかないが、プロレスに魅力を感じる要素はついに見つけられなかった。

そして、あれから十数年経ち、おじいちゃんが死んだ年に、俺はあの頃に何ひとつ面白さを見いだせなかったプロレスについて改めて考えることになる。

大好きなおじいちゃんが夢中になっていたプロレスを、いま俺と仲の良い気の合う友達や尊敬するバイト先の先輩が好きだと言っているのだ。

そんなかけがえのない人たちが認めているプロレスに対し、俺自身が魅力を感じ取れないのはどういうわけなのか?

好きなモノが違うことは別に変なことじゃないし、誰かの好きなモノを無理に好きになる必要はない。

そんなことはわかっているが、俺にはひとつだけ確かめたいことがあった。

 

なぜ、おじいちゃんはあんなにプロレスが好きだったんだろう?

 

幼い頃、一緒にプロレスを見ているときに、この質問をしなかったことが大いに悔やまれた。

おじいちゃんと過ごした多くの時間、プロレス中継を何度も一緒に見ていたのに、こんなに単純で、とても大切な質問をせずにお別れしてしまった。

なぜプロレスが好きなの?

おじいちゃんの口からその理由を聞いてみたかったが、もはやそれは不可能。

であれば、俺が自ら探し出すしかないのだ。

レンタルビデオショップには多くのジャンルのビデオが揃っているが、俺が向かうのはいつもホラーかアクションといったコーナーばかり。

しかし、この日の俺は、そんなものなどに目もくれずに、初めてのスポーツコーナーへと足を運んだ。

「格闘技」と書かれたジャンルの棚には、実に多くのビデオが陳列されている。

ボクシング、K1、空手、柔道と言ったお馴染みの格闘技と共に、プロレス関連のビデオも多く取り揃えられており、後から思うとこの店は、この界隈のレンタルビデオショップの中でも特に格闘技ビデオの品揃えが豊富であったようだ。

 



 

さて、大量にあるプロレスのビデオの前で俺は大きな失敗に気付くことになる。

ひとことで「プロレス」と言っても、それはさまざまな団体に分かれており、どれも同じように見えてスタイルなどはまったくの別物であったという点だ。

団体が多すぎてわからない。

おじいちゃんと見ていたプロレス、友達が好きなプロレス、バイトの先輩が好きなプロレス、これらは果たして同じ団体なのだろうか? それすらもわからない。

今のようにスマホもネットもないので、「金曜8時 プロレス」と検索することもできない。

俺は一体どのプロレスを見ればいいのか?

ビデオ棚の前で立ち尽くす俺。

新日本プロレス(聞き覚えがある)、全日本プロレス(聞き覚えがある)、FMW(これは違う)、WAR(微妙)、UWF(初耳)、リングス(初耳)、パンクラス(初耳)、WWF(海外のやつ)、LLPW(たぶん女子)・・・

 

わからん。

 

一旦、仕切り直して、友達に聞くなどして調べてからもう一度来店しようか?

しかし、ここまで来て引き返すのもなんか嫌だし、そもそもこの「プロレスを知りたい」という高まる欲求とその勢いがいつまで持続するのかもわからない。

わかんねえけど何か勘でチョイスして、それを観てみよう。そうすれば良くも悪くもきっと得るものがあるはずだ。

「ええい、ままよ!」

俺は、それぞれのビデオのパッケージを凝視し、その中でもいちばん目の引いたコピーに望みをかけ、1本のビデオを手に取った。

そのコピーワードは「最強」

ワクワクしながら家までの帰路を飛ばす俺の原付のカゴに入れられたビデオには、こんなタイトルが記載されている。

 

『U.W.F.インターナショナル プロレスリング ワールドトーナメント』

 

 

数時間後に俺は、よりによって一番選んではいけないモノを選んでしまったことに気付くのだが。

 

 

つづく

 

 

シリーズその①はこちら

【自伝】俺がプロレスを好きになった理由 その①

 

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