【12.14後楽園】外道・イズ・ビューティフル【Road to TOKYO DOME】

あのね、たとえば今の俺が、1年前の自分に会ったとするじゃん。
で、この日12.14後楽園ホール大会『Road to TOKYO DOME』の試合を見せたとするわな。
ナニゴトかと思うよね。
1年前の俺。
この1年間で、新日本プロレスにいったい何がおきたんだ?
内部事情があまりにも変わりまくってて、パニックになること間違いなし。
なんでオカダと外道が戦っておるんだ?
なんで真壁と矢野が同じコーナーにおるんだ?
なんでいまだに後藤と鈴木がやりあっておるんだ?
てな感じで、今年の新日本プロレスの波乱&混乱を象徴するようなカードが揃ったこの大会。
年内ラスト2戦は、マジで今年の集大成みたいな大会になっており、まさに締めくくりである1.4東京ドーム大会『WRESTLE KINGDOM 13』へと繋ぐ盛り上がりの最終段階に入ったと言えるだろう。
その証拠に、放送席の実況アナウンサーもベテラン勢が担当し、山崎さんと金沢さんの丁寧で細やかな解説が、選手たちがどうこの1年を歩んできたかを振り返らせてくれる。
ドームへの大いなる助走がはじまった。
いや、もうすでにドーム大会のスタートは切られているのかもしれない。
早々に頭ひとつ飛び出したのは、意外にもこの男。
オカダ・カズチカのスポークスマンとして共に歩んできた長年の関係を破壊し、今年10月にバレットクラブ(というかジェイくん)と結託して水を得た魚のように悪いことをしまくっている外道さんであった。
パーフェクト・外道・ストーム
ここ最近のCHAOSというユニットにおける外道さんは、単なるオチャメなおじさんであった。
マネージャーとしての役割以外では、オカダにイジられる(バカにされているように見えるときもあった)ことも多く、矢野のDVDや「ヨシハシカメラ」などではツッコミ役と化し、昔では考えられないほどの「お人好しキャラ」になっていた。
そんな外道さんが今年10月に爆発した。
オカダを見限ってジェイくんに付いてからの外道さんは、ハッキリ言ってCHAOSだった頃の1億倍も魅力的。
オカダ・カズチカ VS 外道
長年連れ添ったその深い愛情を大きな憎しみに変えて対峙するオカダと外道さん。
ジェイくんとの前哨戦のひとつでもあるカードだが、もはや観方によってはビッグマッチのメインイベントにも匹敵するほどドラマチックな対決である。
オカダがすんなり勝てるなんて予想しているファンは誰もいないだろう。
悪の魅力を取り戻した外道さんは、そんな生半可な相手ではないのだ。
松葉杖と包帯で吊られた右腕、重症なケガ人さながらの格好で入場する外道さんの姿を見て、ワクワクしないプロレスファンなどいない。
見逃せない芸術がはじまる!
外道
「実は今朝、交通事故にあいまして・・・とても試合のできる状態ではありません・・・」
マイクでの試合中止宣言で会場を呆れさせる外道さん、すかさず無情に流れ出すオカダの入場曲、会場が一体となってヒートアップする完璧なる導入。
外道にしかできないこの小賢しさが、俺にはかけがえのない宝物にしか思えない。
オカダ
「べつに、ケニーと同じような試合をするわけじゃなく、すぐ終わるんで」
オカダのマイクもまた、オカダだからこそ、そして外道さんにだからこそ言えるこれ以上ないほど気の利いた挑発なのだ。
新日本プロレスの数年分の壮大なドラマが、この一瞬に詰め込まれている。
外道さんの松葉杖をフッ飛ばし、殴ろうとするフェイントで包帯で吊られた腕が十分動くことを証明してみせるオカダ。
隠し持っていたスプレーをオカダの顔面に噴射し、ひるんだところを素早くメリケン装着のパンチでKOする外道さん。
21世紀フォックスのロゴとファンファーレが出てきそうな、全米大ヒットクラスのエンターテインメント巨編がここに開幕だ。
レインメーカーとレインテイカー
ただの試合で終わるわけなどないことは、誰もが承知だったこの試合。
先手必勝の罠で開始早々フォールされそうになり、場外で痛めつけられ、邪道とジェイくんも介入し孤立無援となるオカダ。
外道さんの巧妙かつ鮮やかな試合のコントロールっぷりにタメ息が出るほど感動する。
そして耐え抜いたオカダによる終盤の逆襲がこれまた痛快。
ジェイくんに震えるほど刺激的なドロップキックをお見舞いしリングから排除したかと思うと、外道さんをツームストンパイルドライバーからのレインメーカー葬。
「レインテイカー」とは、史上最もレインメイカー受けが美しいレスラーに与えられる称号だったのかもしれない。
これほどまでにカタルシスを感じるレインメイカーが近年あっただろうか。
オカダが後楽園ホールの観客全員の歓声と拍手を浴びながら、因縁の戦いの勝ち名乗りを受ける姿こそ、俺たちが待ち望んだ心躍るドラマの結末だった。
いや、もちろんジェイくんがぴんぴんしているうちは、まだこの戦いは終わらないわけだけど。
この日、外道さんを完膚なきまでにやっつけたことで、これまでの前哨戦でのオカダの負け続けがすべてチャラになったのは間違いない。
流れはオカダに向いているが、2日目の後楽園大会でジェイくんはどんな罠を仕掛けてくるのか?
そして、東京ドームでの直接対決に、最後の切り札となるカードを切ってくるのか?
オカダと外道さんのシングルマッチで、今後の抗争にさらなる期待を持たせる最高の前哨戦だった。
そしてCHAOSと本隊は共存する
矢野が、パートナーでもあった真壁(というかG・B・H)を裏切って約10年が経過しているそうだが、そんな歴史などまるで知らんとばかりに同じチームとして8人タッグに駆り出されたこの2人。
岩手大会で、やられている矢野を真壁が助けたというサプライズはあったが、矢野のほうの反応はまるでわからないと言った状況での共闘である。
しかし、矢野本人はもう過去のことなんか何も考えていないのかもしれない。
葛藤や戸惑いなどまるで見せずに飄々と共闘している姿が清々しく、これがまた矢野通というプロレスラーの魅力なのだ。
この共闘もまた、直接的にではないがジェイくんのCHAOS離反から生まれたカードであり、やはり今年の波乱はすべてジェイくんがきっかけであり、彼が歴史を大きく動かしているんだということを改めて感じて寒気がしてしまう。
今や当たり前のように戦っているゴールデン☆ラヴァーズも、棚橋さんのチームにオスプレイがいて一緒に前哨戦を戦うことも、ジェイくんなしでは実現しえなかったことなんだね。
俺たちにドラマチックな光景を提供し続けるジェイくんという存在の凄さ。
どう考えても俺の中での今年のMVPは、この男である。
まとめ
今回の後楽園大会は、取り上げるべきネタがほかにもあった。
まずは、海野翔太イケメンすぎ問題。
鷹木信悟の初シングルでありながら、海野はそのイケメン力で百戦錬磨の鷹木に本気を出させたのがとても印象的だった。
また、試合後にそんな海野を称える鷹木の姿のとても感動的であった。
海野のドラマはまだまだ始まったばかりだ。
そして、鈴木みのるの試合もまた何か意味があるのではないかと思わせるカードだったが、2日目にも同カードが組まれているようなので、これはまた次の記事で考察してみたい。
昨年同様にこの時期に鈴木と後藤が対峙しているのは一体どういう了見なのだろうか?
気になる。
以上。
Comment
いつも素晴らしいブログありがとうございます😊
外道さんに持ってかれました
ボクならほぼこの一言でしか表現出来ませんが
プロレスを観てデヴォンさんのブログを読んで
スルメのように何度も噛みしめ味わいながら
楽しんでいます
プロレスの見方 楽しみ方をデヴォンさんから
教えられる事に喜びを感じています
忙しいとは思いますが
これからも素晴らしいブログ
楽しみにしています
デヴォンさんのブログを勝手に紹介させてもらい
快く承諾していただき感謝しています
どうも! とても嬉しいです! ブログやってた甲斐がありました。プロレスって、観方次第ではどんな試合でもエンタメになり得るので、ほんと奥が深いなと思います。試合を観て興奮して、それを文章で「俺はこんなに楽しんだよ!」って発信するだけで2度楽しめる。ブログってとても便利なツールなのでお互いに上手く利用していきましょう! ブログで取り上げていただきありがとうございます!今後ともよろしくです!
どうも!
僕はこの試合こそYOSHI-HASHIが乱入してくると思ってドキドキしてました。外道が怪我→俺らの新しい仲間を紹介するぜ!→で「YOSHI-HASHI」改めて「ヨシハシレクイエム」が出てくると思っていたので本当にガッカリです。僕たちは一体いつまでYOSHI-HASHIを待っていれば良いのでしょうか?(笑)
どうも! 俺もヨシハシ乱入を期待していましたが、結局今年はヨシハシの復帰ナシでしたねw マジでいつまで待たせる気なのか? これで、ビッグマッチではなくて普通の「ロード・トゥ・ニュービギニング」なんかでさらっと普通に復帰したら暴動起こしましょうw
外道ってやっぱりすごい人なんだなって思いました
外道のベストバウトといえばプリンス・デヴィットとのジュニア王座戦だと思いますが、それとは違う意味でベストバウトと言っていい試合だったんじゃないでしょうか。あのレインメーカー受けは芸術的過ぎる
ヒール殺法の一つ一つがオカダへの餞別に見えて段々涙が出ましたよ
どうも! 外道さんの凄さがあの試合に詰め込まれていましたよね。改めて感心したというか、そもそも外道さんが凄いなんてことをすっかり忘れていましたよ俺はw
デヴィッドとの王座戦はおそらく見ていないのでぜひぜひチェックしてみます! ヒールがオカダへの餞別って感動的ですね。オカダもそれをしっかり受け止めていたし。こういったドラマがさりげなく展開しているのがなんか泣けますな。
これぞプロレス!って試合でした!
良いストーリーの条件は悪役が魅力的であることだと思っていますが、外道はまさに素晴らしい悪役ですね。
1.4の結果がどうなるかわかりませんが、オカダと外道が絡む限り面白くなることが実証されたので、その先に待ってるストーリーも含めて楽しみにしています。
どうも! 外道さんのキャラクターとしての小者感が、悪役として魅力的すぎるんですよね。入場シーンからもう名勝負確定するのってなかなか見れないですよw オカダと外道の敵対関係におけるドラマ性は証明されたので、今後どのようにこれを発展させていくのかは見ものですなw